ブルージンズ・イン・ハワイ

 夏だ!バカンスだ!ハワイアンだ!
 今年もまたハワイアンの季節がやって来ました。我が国では気候的な条件によりハワイアン・ミュージックは夏場だけのようになってしまったのは大変残念である。しかし最近では交通機関の発達、経済的余裕も出来、かなりハワイに出かける人も増えているようです。誰れもが一生に一度行って見たいと願う、常夏の島ハワイ、ハワイを讃えて、魅惑の島、夢と憧れの島、・・・とあらゆる讃辞をもって最高の形容をされている。ハワイを唄ったものは皆などれも花咲き香る島を美しく表現しています。8つの島からなるハワイ諸島を、数々の角度から見方を変えれば必す唄になる。ハワイはまたそれらの素材になる秀れた条件がそろっているからである。島々のどこにも、あの高い椰子の樹がそよぎ、葉かげでフラダンスを踊るハワイ娘、首に巻いたレイの美しさ、ハワイ独特の気候、風土、生活様式、産物、自然・・・と島々の持つ特有な色々な条件すべてが素敵なのである。“ハワイ良いとこ一度はおいで”とばかり、全体がPRソング的なものに仕上げられているような見方をするのは私だけではないでしょう。本当に心憎い限りですね。
 寺内タケシ(ギター)をリーダーとするブルージンズはギターに加瀬邦彦、リズム・ギターに岡本和夫、ベースに石橋志郎、エレクトーンに鈴木八郎、ドラムスに工藤文夫の気の合った6人のメンバーです。猫の目のように変る現在のポピュラー界で、明日の自分達の存在が予想出未ない激しい波に負けない為に、常に肌で感じたままを演奏にぶつける寺内タケシとブルージンズがより一層成長し、国内のみならず海外へも大きく伸びてゆくことを期待しています。

★ブルー・ハワイ
 この曲はビング・クロスビーが主演した映画「ワイキキの結婚」の主題歌として「スウィート・レラニー」と共に使用されました。他に「フラの天国」「オーコレノーオ」なども挿入され、作詩・曲はレオ・ロビン、ラルフ・レインジャーのコンビによって書かれたもので、最近ではエルヴィス・プレスリーが主演した同名の映画で唄わせ大変なヒットをしましたことは御承知の通りです。
★タ・フフフワイ
 別題「ハワイの戦いの唄」として知られているナンバーで、1942年にレイ・ホークによって書き上げられたオリジナルは恋の唄であったようです。それが後になってジョニー・ノーブルが補作、戦いの唄に仕立てたのが空前のヒットとなりました。またハワイアンだけでなくトミー・ドーシー楽団、ジョー・スタックフォード、エイムス・ブラザースなどによって演奏され、唄われている。
★渚のトーテン・ポール
 ブルージンズのギター奏者、加瀬邦彦が最近持前のセンスで多くのオリジナルを発表しています。処女作「ブルージンNo.1」「ギター・ファイア」、最近では、「Your Baby」が '65年度日本レコード大賞の作詩賞を受賞した安井かずみが作詩、ポピュラー・ソングとして唄われて、その作曲の才能は「ウナ・セラ・ディ東京」・・・などの作曲者として有名な宮川泰氏からも讃辞され、かなり気を良くし、演奏曲のみでなくこれからも沢山のオリジナルを書きたいと意欲を燃やしている。
★パーリー・シェルス
 この曲は昨年の夏にビリーヴォーン楽団の演奏などで大へんヒットし、またジャック・ジョーンズの唄でヒットした「月影はるかに」とは同じメロディーである。それからおことわりしておきますが、このパーリー・シェルスは新録音のものでない。「サニー・サイド・ブルージンズ」TP-7071から抜粋したものです。これは録音スケシジュール中寺内タケシが病気になったことや、また良かったものはまた使っても・・・再録音の必要なしということで使われたものです。
★南国の夜
 フランク・シナトラなどでヒットした「グラナダ」の作曲者として知られる有名なアウグスチン・ララのペンになる「ノーチェ・デ・ペラクルス」というタンゴ風なメロディーがオリジナルとされ、その後ネッド・ワシントンが英詩を付け、映画「トロピカル・ナイト」(セニョリータ)の主題歌として使用され好評であった。メロディーは日本人好みのもので、思わずハミングしたくなるほど親しまれている。ラルフ・M・セーゲルの同題「南国の夜」(In Sudlicher Nacht)とはまったく別なものです。
★可愛いビリー(マカマエ・ビリー)
 この曲もこのアルバムの為に加瀬邦彦が書き下したオリジナルである。録音が終わり、曲は出来たが題名が付いていない、何んて付けようか迷っていた。さて何をイメージにして書いたかときかれても、「ただなんとなく夏の砂浜を思い浮かべながらメロディーを作り上げてしまった、それだけなんです」。何かタイトルを付けて下さいとたのまれた筆者もまよった。そして、何んとなく語呂の良いタイトルを付けてやれと勝手につけたのがこのタイトルです。マカマエとはハワイ語で「貴重な」とか「可愛い」という意味です。ビリーは7・8才の男の子、褐色にやけた皮膚をした元気な坊主が砂浜で遊んでいる情景を思いうかべながら聞いて頂けたら、感じが出るのではないかと無責任に付けて見ました。
★珊瑚礁の彼方
 「珊瑚礁の彼方」誰れでも知っているハワイアン・スタンダード曲です。作詩・作曲はジャック・ピットマンという英国人ピアニストであり、彼はまた日本でも知られている「ブルー・ムー・ムー」、「マイ・ワイキキ・ガール」の作者としても知られ、映画で「ここより永遠に」などの音楽担当として主題歌などを書いている。この曲はまた「ラ・ノール」「ハーバー・ライト」などのような海をテーマにした数々の曲の中でも一段と冴えている。ハワイアン・バンドが好んで演奏し、唄われ、親しまれている曲は他にあまりありません。
★カイマナ・ヒラ
 カイマナ・ヒラとはハワイ語でダイヤモンド・ヘッドという意味で「ハワイの唄」・・・など多くのヒット曲を書いた故チャールス・E・キングの作品です。ダイヤモンド・ヘッドはハワイの有名な岬のことで、その雄大で南国の詩情あふれる美しい景色は、ハワイが誇る自然美No.1のピオラ公園、ワイキキの浜辺、数々の美しい絵葉書を見るような楽しい情景をメロディーに託し、讃えられた曲としてあまりにも有名である。
★ハワイアン・ウェディング・ソング
 これまた「島の唄」「カイマナ・ヒラ」・・・など多くのメロディーを書いたチャールズ・E・キングのペンになる代表曲です。この曲のオリジナルタイトルは「ケ・カリ・ネ・アウ」が示すようにもともとはラヴ・ソングなのである。それがいつの間にか「ハフイの婚礼の歌」と云われるようになったのは、歌詩の内容から付けられたタイトルなのです。現在ではハワイの結婚式では必らず演奏されるようになりました。そして作曲者であるキングが書き下したミュージカル「プリンス・オブ・ハワイ」(1925年上演)の中の結婚式のシーンでBGに使用されたという由来が大きく影響しているのです。
★マウイ・チャイムス
 この曲はいわゆる作者不詳の曲として知られていないようです。人は良くハリー・オーエンス作曲とも云われているようです。またチャールス・A・K・ポプキンスという人によって1899年に出版された「マウイ・ノ・カ・オイ」という作品に大変似ている。「マウイ・チャイムス」は、このメロディーにヒントを得て作曲されたものと云われ、その真偽のほどは今だに立証出来ていないらしい。ジョニー・ノーブルの作曲の「モアナ・チャイムス」は唄でも知られているが、この曲はハワイアンの中でも「ヒロー・マーチ」、「コハラ・マーチ」と並んで三大インストルメンタル曲として有名である。それもスチール・ギターをフィーチャーしたもので良く知られている。
★ハワイアン・ハーレム
 この曲は純日本産のハワイアンで、しかも出来立てのホヤホヤです。このブルージンズのハワイアン・アルバムの為にエレキ・ベースの石橋志郎が作曲、ギター奏者、加瀬の作曲にシゲキされ、憤起一番書き上げた処女作であります。ベーシストらしく、良くリズムにのったエキゾチックなメロディーに仕上げています。このアルバムの中でただこの曲だけが寺内タケシが録音に加っていません。これは彼が病気の為に演奏が出来なかったためで、出来た曲については出来の良さに自分ごとのようによろこび、石橋を激励していた。今後もどしどし素晴らしいメロディーを期待して、耳を傾けてみましょう。
★アロハ・オエ
 誰れがなんと云ってもハワイアンで一番有名な曲と云わねばならないでしょう。学校教科書にまでのっているのはこれ以外にはないでしょう。この曲がハワイアンの最大傑作であり、この曲を作ったのはハワイ王国最後の君主であるリリオカラニ女王の作曲といわれている。初めは女王の心中に描いた恋物語をテーマにしたラヴ・ソングとして知られ、現在ではお別れの曲として現われているのは、女王が自分の王朝、そして島々に、人々にお別れを告げなければならないというドラマチックな歴史的を背景があるからです。ハワイでは船が出るとき舞踏会のあと、公共的を式典の後で必ず演奏されるようになったのはそう云った歴史的なことからという由来からです。

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