ブルージーンズ・ゴールデン・アルバム

 寺内タケシによって創られ、寺内タケシによって育ち、寺内タケシによって代表されるブルー・ジーンズのゴールデン・アルバムです。テナー・サックス中心の時代に、すでに今日あるのを予期し、日本ではじめてエレキ・ギター中心の本格的ロック・バンドを編成、以来わが国のロック・バンドの指導者の役割をはたしながら、前進をつづけて参りました。そしていち早くヴェンチャーズの模倣から脱して、オリジナルと民揺をレパートリーの中心としてNo.1の地位を確固たるものにしました。プルー・ジーンズの良さは、寺内タケシのすばらしいギターのテクニックとアド・リヴにプラスしてバックが一体となっての盛り上がりにあり、本場アメリカやイギリスでも他にひけを取らぬ立派なものです。ここでは、オリジナルと民謡を中心としたブルー・ジーンズの18番をおさめたLPであり、このLPによってブルー・ジーンズの全ぼうを知ることができます。

〈SIDE 1〉
1. 涙のギター
 作曲はすぎやまこういち。日本人の手になるエレキ・ナンバーのビッグ・ヒットです。あらゆる音楽を消化しきった者の余裕ある傑作です。日本民謡に似たフレーズがほの見える画期的なこの曲。ギターのブレークも効く所に決まっていて非常に楽しめます。
2. 雨の想い出
 サイド・ギターを担当している加瀬邦彦の作曲。1曲出来上ると、恥かし気にそっとメンバーに差し出すのだそうです。そのテレ屋から生まれたマイナー・コードのラヴ・ソングで、ここでは加瀬がリード・ギターを担当しメロディーの美しい印象的な曲にしています。
3. ダイアモンド・ヘッド
 ベンチャーズのビッグ・ヒットですね。波に奏でられる(エレクトーンの鈴木八郎担当)南国のエキゾティックな夢に誘ってくれます。寺内タケシが種々のテクニックを駆使してギターならではの限界をいっている音のオブジェが大変面白いですね。
4. 黒田節
 これ又、日本の大ポピュラー・テューン、ゆりかごから墓場までお世話になっている福岡県民謡で、元黒田藩士の愛唱歌でした。そのメロディーは雅楽の平調「越天楽」から出ていますが、現在歌われるようになったのは大正末期に黒田節と名付けられてからです。
5. 夜 路
 日本のギタリスト、ナンバー・ワン寺内タケシが初めて発表した彼のオリジナル・ナンバーです。オリジナルの少ない我国のグループの中にあって意欲的に自分達独自の作品を持とうとしているブルー・ジーンズの態度は大変立派なものですね。
6. 夜露のなぎさ
 この曲もリーダー寺内タケシが精魂こめて書きあげたオリジナル曲です。躍動するリズム、心にくいまでの彼のギターのテクニックを満喫して下さい。彼はギターのプレイだけでなく作曲面でも超大物であることがおわかりでしょう。
7. 津軽じょんがら節
 津軽地方の民謡です。特徴はひねくれた節廻し、アクセントを強調したいわゆるジョンガラ三味線と呼ばれる荒けずりな奏法でアクが強いものです。以上の特徴からわかるように寺内タケシのギター・テクニックによく似ているようですね。モダン・ジャズ・コードで演奏するブルー・ジーンに拍手を。
〈SIDE 2〉
1. 越後獅子
 皆さんよくご存知の長唄「越後獅子」からの有名なサワリを、特に抜き出してアレンジしたものです。ダイナミックなイントロに続いて寺内タケシのリード・ギターによってなつかしいメロディーが流れてまいります。ブルー・ジーンズならではの楽しい演奏ですね。
2. ユア・ベビー
 これも加瀬邦彦のオリジナル。この曲ではブルー・ジーンズの初めてのコーラスで歌われています。作詞ば安井かずみさん。内容は二人連れで歩いていたいかしたあの娘は恋人なんだろう・・・白状しろよといった友違のデートを冷かしている楽しいものです。
3. ブルー・ジーンNo.1
 ブルー・ジーンズのオリジナルの第1番。これも加瀬邦彦の作曲で、日本で初めて生まれたサーフィン無国籍曲、ダイナミックな寺内のアレンジでごきげんな曲になりました。レコード大賞作曲賞の宮川泰の1番弟子の腕前を発揮した受賞期待の作でしたね。
4. ハートで歌おう
 今迄にお聞きの通り圧倒的なスビードで書きまくっている加瀬邦彦のオリジナルです。ユア・ベイビーと同じに野性的なコーラスで詩は橋本淳が書きました。こうした自分達の独特の演奏スタイルに合せたオリジナルは是非とも他のグループも心掛けてもらいたいですね。
5. 涙の十字路
 ブルー・ジーンズきってのロマンティスト加瀬邦彦の去りし日の思い出を歌いあげたオリジナルです。すでに種々の秀 作で、非几な才能を認められている彼の作品ですから内容の充実した素晴らしい作品であとはおききの通りです。
6. 草津節
 群馬県民謡として古くから親しまれている曲です。原曲はのどかな温泉のコマーシャルですが、ここではクイック・ロックにしてメロディーは原曲に忠実に、そして楽しく演奏しています。ブルージンよいとこ一度はおきき、エレキの中にはビートがあるよ・・・。
7. 急がば廻れ
 ブルー・ジーンズのステージを御覧になった方はご存知、彼らのバンド・テーマです。65年早々、来日してあっと言わせたベンチャーズの往年の大ヒットですね。
 オリジナル8曲。ベンチャーズのヒット・ナンバー2曲。民謡4曲。いかがでしたかブルー・ジーンズの巾広い演奏は、楽しかったでしょう。

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